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認知症初期症状を見逃さないために知っておきたいこと

最終更新日 2023/10/23

認知症の初期症状は、しばしば見落とされがちであり、家族や介護者にとって深刻な問題となります。しかし、早期に気付き、適切な対策を講じることができれば、認知症の進行を遅らせることができるかもしれません。この記事では、認知症の初期症状を見逃さないために知っておくべき重要な情報を紹介します。親や家族の健康と幸福を守る第一歩として、早期のケアが何よりも大切です。

1:親の認知症初期症状チェック

1-1:認知症初期症状とは

親の認知症初期症状を認識することは、その後のケアやサポートにとって重要なステップです。認知症の初期症状は、以下のような特徴を持っています。

①記憶の問題: 親が以前は簡単に覚えていたことや日常の出来事を忘れることが増えたり、同じことを繰り返し尋ねたりすることがあります。

②判断力の低下: 複雑な決定を下す能力が低下し、簡単な判断にも時間がかかることがあります。財政面での判断ミスや安全に関する判断の誤りが見られることもあります。

③コミュニケーションの困難: 言葉の選択が難しくなり、文章が不明瞭になることがあります。また、会話の中で話の筋道が途切れたり、理解しづらい内容を述べることがあります。

④物事の迷子: 親が日常生活で物事の場所を迷いやすくなることがあります。家の中での迷子だけでなく、外出時に迷子になることもあります。

⑤日常生活の困難: 調理や自己ケア、掃除などの日常生活スキルに問題が生じ、これらのタスクに対処することが難しくなります。

⑥性格や行動の変化: 急な性格の変化や異常な行動が見られることがあります。不安や興奮、抑うつ的な症状が現れることもあります。

親の認知症初期症状に注意を払うことで、早期に医療専門家の診断を受け、適切なサポートや介護プランを策定することができます。認知症の進行を遅らせるためにも、家族の理解とサポートが非常に重要です。

1-2:認知症初期症状 一覧

上記症状のほかに

①判断力の低下: 複雑な決定を下す能力が低下し、簡単な判断にも時間がかかることがあります。財政面での判断ミスや安全に関する判断の誤りが見られることもあります。
②時間や日付の混同: 認知症患者は、日付や時間の把握が難しくなることがあります。現実と過去の出来事を混同することもあります。

③物品の紛失: 物品を置いた場所を忘れてしまい、物品を見つけるのに困難を抱えることがあります。

④社会的な変化: 認知症初期症状には社会的な変化も含まれます。友人や家族との交流が減少することがあります。

上記症状と併せてこれらの初期症状が1つまたは複数現れた場合、医療専門家への相談が重要です。早期の診断と適切な介入は、認知症の進行を遅らせ、患者の生活の質を向上させるのに役立ちます。

2: 認知症初期症状の対応とケア

2-1:軽度認知障害(MCI)との違い

認知症初期症状と軽度認知障害(MCI)の違いを理解することは、正しい診断と適切な対策を講じるために非常に重要です。以下は、それらの違いについての詳細な説明です。

①症状の深刻さ

認知症初期症状: 認知症初期症状は通常、認知機能の著しい変化を示します。これには重度の記憶障害、判断力の急激な低下、日常生活における支障などが含まれます。

MCI: MCIは軽度な認知障害であり、症状は認知症よりも軽度です。MCIの患者は通常、日常生活において大きな支障を受けないか、軽度な支障しか経験しません。

②日常生活への影響

認知症初期症状: 認知症初期症状は、日常生活において多くの困難を引き起こします。自己ケア、家事、財政管理、コミュニケーションなど、さまざまな領域で支障が生じます。

MCI: MCIは通常、日常生活における支障が軽度であり、患者は多くの日常活動を維持できます。しかし、特定の認知的タスクにおいて若干の難しさが生じることがあります。

③進行のリスク

認知症初期症状: 認知症初期症状は、通常、時間とともに進行し、症状が悪化します。これは認知症の典型的な特徴です。

MCI: MCIの症状が進行する可能性もありますが、必ずしも認知症に進展しないことが多いです。一部のMCI患者はそのまま安定した状態を維持することもあります。

④診断と管理

認知症初期症状: 認知症初期症状を診断するには、詳細な神経学的評価や脳画像検査が必要です。認知症の場合、適切な介護や治療が必要です。

MCI: MCIの診断も医師による評価が必要ですが、一般的には治療や認知療法の提供が行われます。また、健康的な生活習慣を維持することが重要です。

認知症初期症状とMCIの主な違いは、症状の深刻さと日常生活への影響、進行のリスクにあります。正確な診断と適切なケアプランの策定は、患者とその家族のために極めて重要です。

軽度認知障害(MCI)に関する詳しい記事はこちら↓
MCIとは?診断方法や回復率、認知症との違いについて

2-2:認知症初期症状の早期発見と対策

認知症の初期症状の早期発見と対策は、患者の生活の質を向上させるために非常に重要です。

①早期発見の重要性

認知症は進行的な疾患であり、初期に発見されない場合、症状が悪化し、日常生活に、大きな支障をきたすことがあります。そのため、初期の兆候や変化を早期に認識することが不可欠です。

②定期的な医療チェックアップ

認知症の早期発見をサポートするために、定期的な医療チェックアップが重要です。年配の人やリスク要因を持つ人々は、定期的な認知機能評価を受けるべきです。

③認知症へのリスク要因の対処

認知症のリスクを軽減するために、健康的な生活習慣を維持しましょう。適度な運動、バランスのとれた食事、ストレス管理などが含まれます。

④社交的な活動

社交的な活動を維持することは、認知機能を保つのに役立ちます。友人や家族との交流、趣味やアクティビティに参加することで認知症のリスクを軽減することができます。

⑤認知療法

認知症初期症状の管理に役立つアプローチの一つです。これには記憶のトレーニング、問題解決能力の向上、コミュニケーションスキルの向上などが含まれます。

⑥安全対策

認知症の患者に対する安全対策は重要です。家庭環境での転倒や事故を防ぐために、適切な措置を講じましょう。

⑦家庭のサポート

認知症初期症状を発見した場合、家族や介護者はサポートと理解が必要です。

情報を共有し、患者のニーズに合わせたサポートプランを策定しましょう。

3:認知症初期症状の予防と検診の重要性

3-1:予防法と生活習慣の改善

生活習慣病は認知症の発症を高めると言われています。

主な生活習慣病と言われている高血圧や糖尿病、脂質異常症は、認知症の原因ともなる脳梗塞や動脈硬化、脳出血を引き起こしやすくなります。
生活習慣の改善としてあげられるものは以下のものです。

①適度な運動
定期的な運動は、脳と身体の健康を維持するのに役立ちます。有酸素運動や筋力トレーニングは、血液流量を増加させ、脳への酸素供給を向上させ、認知機能を刺激します。週に150分以上の運動を行うことを目指しましょう。主にウォーキングをメインにおこない身体に負担がかからないようにしましょう。また、ウォーキングだけでなく、さまざまな運動を組み合わせることで認知症予防に有効です。手足を動かしたり、ステップを覚えることにより、脳にも刺激が伝わります。

②バランスのとれた食事
健康的な食事習慣は、認知症予防に不可欠です。多くの果物、野菜、全粒穀物、健康的な脂肪、魚、ナッツを摂取しましょう。抗酸化物質やオメガ-3脂肪酸は脳の健康に寄与します。麺類やパンのみ、食事代わりのお菓子、ファーストフードなどが挙げられます。たんぱく質やビタミンミネラルが少なく栄養がほぼ摂取できません。主に肉や魚、野菜、果物などバランス良く栄養を摂取し、臨機応変にサプリメントなども活用しましょう。

③ストレス管理
長期間にわたるストレスは認知症のリスクを高める可能性があります.リラクゼーションテクニックや瞑想、趣味。社交活動など、ストレスを軽減する方法を取り入れましょう。

④知的活動

認知症予防には知的活動が大切です。読書、パズル、学習、新しいスキルの習得など、脳を刺激する活動を積極的に取り入れましょう。

⑤社交的な活動

長期間にわたるストレスは認知症のリスクを高める可能性があります。リラクセーションテクニックや瞑想、趣味、社交活動など、ストレスを軽減する方法を取り入れましょう。例えば、「町内会の役員をする」「ボランティア活動をする」「一緒にガーデニングや畑仕事をする」といったことがおすすめです。遠く離れた家族とテレビ電話で話したりするのも良いでしょう。

⑥十分な睡眠

十分な睡眠は脳のリフレッシュに重要です.規則的な睡眠習慣を確立し、睡眠の質を向上させるために心がけましょう。

⑦禁煙取り入れ適量の飲酒

喫煙と過度なアルコール摂取は認知症のリスクを高める要因です。禁煙を検討し、適度な飲酒を心がけましょう。

⑧血圧と糖尿病の管理

高血圧や糖尿病は認知症のリスク要因です。定期的な健康チェックと適切な治療を受け、これらの疾患を管理しましょう。

生活習慣の改善は、認知症予防において非常に効果的な方法です。これらの健康的な習慣を積極的に取り入れることで、脳の健康を促進し、認知症のリスクを軽減することができます。

3-2:検診方法と頻度

3-2-1:認知症の検診方法

認知症の検診方法には主に以下の3つがあります。

①認知機能テスト:認知症の初期兆候を評価するために一般的に使用されます。Mini-Mental State Examination(MMSE)やモントリオール認知機能評価スケール(MoCA)などがあります。これらのテストは、記憶、言語、判断力などの認知機能を評価します。

②神経学的評価:医師が神経学的評価を行い、認知症の症状や脳機能の変化を評価します。脳画像検査(MRIやCTスキャン)も認知症の診断に役立ちます。

③血液検査:一部の認知症症状は、甲状腺機能、ビタミンB12の欠乏症、感染症などほかの健康問題に関連していることがあります。血液検査はこれらの問題を特定するのに役立ちます。

3-2-2:検診の頻度

認知症に関する検診の頻度については以下の3つの考え方が重要と考えられています。

①年齢に基づく検診:一般的に、特定の年齢から認知症の検診を開始することが推奨されています。たとえば、65歳以上の人々は、定期的な認知機能評価を受けることが勧められます。

②リスク要因に基づく検診:認知症にリスク要因(家族歴、高血圧、糖尿病など)がある場合、検診の頻度はより頻繁になることがあります。リスク要因がある人々は、医師の指示に従って定期的な検診を受けるべきです。

③症状の変化に基づく検診:自分や家族が認知症の初期症状に気づいた場合、早期の診断を受けることが大切です。症状が変化したり悪化したりする場合、医師の診断とフォローアップが必要です。

認知症の検診は、早期診断と治療のために非常に重要です。検診方法と頻度は個人の状況に合わせてカスタマイズされるべきであり、医師のアドバイスに従うことが重要です。また、認知症の早期発見は、患者とその家族のためにも生活の質を向上させるのに役立ちます。

3-3:検診費用と医療機関の選び方

3-3-1:検診費用について

検診費用について一覧でまとめました。事前におおまかな費用を確認してから適切な選択をしましょう。

  • ・認知機能テスト:3割負担で約250円程度
  • ・CT検査:3割負担で1万円前後
  • ・MRI検査:3割負担で1万円前後
  • ・SPECT検査:3割負担で2万5千円~3万円以上
  • ・MCIスクリーニング検査:保険適用外で自費2万円程度
  • ・APOE遺伝子検査:保険適用外で自費2万円程度
  • ・PET検査:保険適用外の場合は10万円程度、保険適用の対象だった場合、1割負担の1万円~3割負担の3万円前後

3-3-2:医療機関の選び方

認知症検診を受ける際には、適切な医療機関の選択が重要です。以下は医療機関を選ぶ際のポイントです。

①専門家の存在:認知症検診や診断に特化した医療機関や専門家を選ぶことが望ましいです。神経学者、精神科医、または認知症専門のクリニックがあります。


②評判と経験:医療機関の評判や医師の経験を確認しましょう。患者のレビューや推薦を参考にすることができます。

③アクセシビリティ:通院や検診を受ける際のアクセスや交通手段を考慮しましょう。近場にある医療機関を選ぶことが便利です。

④保険カバレッジ:自身の保険プランやカバレッジを確認し、認知症検診がカバーされているか確認しましょう。保険会社が提携している医療機関を選ぶことが経済的です。

⑤カウンセリングとサポート:認知症診断を受けた場合、患者と家族に対する適切なカウンセリングとサポートが提供される医療機関を選びましょう。

認知症検診は早期診断と治療のために非常に重要です。医療機関の選択と費用に関しては、個人の状況や好みに合わせて検討し、医師や専門家との相談をお勧めします。

参考文献:

認知症初期症状チェック

認知症の初期症状チェックリスト

初期症状とは

初期症状進行の仕組み

軽度認知症障害(MCI)との違い
認知症と軽度認知障害(MCI)の違いについて

初期症状や取るべき対策

認知症の早期発見は大事?認知症の兆候や予防方法を徹底解説

認知症の予防方法

認知症の予防するには

40代から始める認知症を予防する方法

認知症の予防/健康長寿ネット

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